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写経で文章がうまくなりたい9 アカシア茶裁判について

 全国新聞ネットが運営しているニュースサイト47newsにて面白い話題があったので、そちらを写してみた。執筆者は共同通信社武田惇志記者。

www.47news.jp

 

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 題材として取り上げられているのは”アカシア茶”裁判である。ことのあらましはこうだ。被告となっているのは『雑草で酔う』(彩図社)などで知られる青井硝子氏。青井氏はもともとインターネット上で幻覚物質DMT(ジメチルトリプタミン)を含有するアカシアコンフサの飲用粉末(通称アカシア茶)を販売していた。

 昨年7月、青井氏からアカシア茶を購入したした京都市内の学生が、煮出した茶を摂取したところ、意識がもうろうとした状態になり、病院に搬送された。搬送先の病院で尿検査の結果DMTが検出、警察に摘発された。

 その後3月3日に京都府警と厚生労働省近畿厚生局麻薬取締部が学生に麻薬をほう助した疑いがあるとして、青井氏を麻薬取締法違反の容疑で逮捕した。

 もちろん、DMT自体は麻薬として規制されている。だがそもそも麻薬取締法では麻薬原料植物として規制されていない植物が麻薬成分を含んでいても、規制対象とされていない。アカシア茶の原料であるアカシアコンフサももちろん規制対象外である。記事中にもあるが、DMTは身近な植物でいえばミカン属にも微量ではあるが含まれているのだという。

 現在保釈された青井氏と弁護側は、こうした背景から無罪を主張。一方で検察側はゆるがず、青井氏の有罪を主張。アカシア茶の違法性を巡って検察側と青井氏が争っているのである。

 当該記事はざっくり説明すると、アカシア茶裁判を概観。それとともに麻薬取締法をはじめとした、法律の整理、今回取りざたされたアカシア茶、ひいてDMTのようないわゆるサイケデリックス(幻覚剤)とは何なのかを説明していく。

 そしてそれにまつわる様々な議論、例えば日本では違法とされているものの大麻LSDなどの幻覚剤、いわゆるサイケデリックスは諸外国では治療用に使える事例も報告されている。こうした有用性を無視して規制するのは果たして的確なのか。

 またそもそもとして、違法薬物の使用は依存症になる本人は別として、明確な被害者のいない犯罪ともいえる。それをどうとらえていくべきか。

 エビデンスや伝統的に儀式などで使用されている中南米の研究者のコメントをもとに紹介していく。そして、厳格規制一辺倒の日本の薬物司法に疑義を投げかける、という内容で非常に興味深いものだった。

 個人的な立場としては、まず、違法薬物の使用に関してはだいたいの場合被害者はいない。よく言われる、ブラックマーケットに資金が流れるのではないかという指摘も非合法化しているからこそなのではないかと考えている。違法薬物の使用を一辺倒に犯罪として刑事罰を課すのは的確ではない考えている。

 統計にも出ているが、覚せい剤使用者には累犯者が多く、つまり、刑事罰は治療にはなっていないと指摘する専門家もいる。仮に治療という観点から見ても、個人的に刑事罰は的確ではないだろう思う。

 このあたりは薬物依存症治療の専門家としても知られる国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師がメディアで取材に答えた内容や単著『薬物依存症』に詳しい。

 また、大麻など一部の違法とされる薬物の中には疼痛の緩和や精神医療分野などで一定程度エビデンスが見られているものもある。規制一辺倒で四角四面に考えるのではなく、しっかりと限界や副作用を理解したうえで、使用することも考えるべきではないかとも思う。あと、あくまで個人的にだが、学校教育の”ダメ絶対”も嫌いである。

 ただ、青井氏のスタンスに関しては疑問が残る点もある。氏が販売した茶を飲んだ学生が朦朧とした状態になり病院に搬送されており、見方によっては被害が出ているとも言えなくはないだろう。(青井氏がその後学生とどのようなやりとりをしたのかなど詳しくは調ベラれていないという点は記しておく)

 まだ裁判は続いている。結果がどうなるのか、個人的には99.9%が有罪になる国なので、あきらめに近い思いを抱いてはいる。だが、この件によって議論が進み、もう少し面白みのある社会になるのではないだろうか。

 了

 

 

終わり