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モータルシェルをプレイした 

 今では一つのジャンルを指す言葉にもなったソウルスライク。毎年、インディ、メジャー、PC、プラットフォームで必ず何作か新作が登場する、人気のジャンルの一つ。2020年8月に発売されたモータルシェルもその一つだろう。本作は数あるソウルスライクゲームの中でも、元となったソウルシリーズ(フロムソフトウェア制作デモンズソウル、ダークソウル1,2,3を主に指す)の雰囲気も十分に反映させつつ、オリジナリティも盛り込んだ良作ということで発売前から話題を集めていた。クリアまでプレイしてみたので感想を記す。

 プレイ時間約15時間(一周目クリアまで)

モータルシェル ストーリーの概要

 荒れ果てた土地フォールグリムに降り立った異次元の半人半神が主人公。そのままの姿では非常にもろく、ひ弱な主人公はフォールグリムに各地に点在する、途上で力尽きた他の戦士たちの肉体(シェル)を利用しながら、フォールグリムの各地に点在する、巡礼所を目指す。といった内容これといったストーリーは明示されることはなく、NPCの語りやプレイを進め能力を強化していく中で明らかになる4つのシェルの氏素性、各種アイテムのフレーバーテキストを読み、解き明かしていくという流れになっている。このあたりは難解なストーリーで知られるソウルシリーズにも通じるものがあるだろう。

 

モータルシェルにはレベリングの概念はないぞ

 モータルシェル世界の中心となる、基本マップ“フォールグリム”のほか“荒れ果てた霊安堂”“悠久の拝廊”“遺跡の敷地”三つのエリアをめぐり、線と呼ばれるアイテムを集めるのが主な目的となる。

 ゲーム内容はソウルシリーズにも通じるアクションRPGだ。フォールグリム各地に点在した4人のシェルを使い分け、マップを攻略していく(オープンワールドではなく、ロードを挟むタイプ)。本作ではRPGではあるが特にレベリングの概念はない。経験値となるター、そして強敵を倒す、特定のアイテムを使用した際に手に入る一瞥を使用することによって、各種シェルの隠された能力を開放していくことで、強化していくという流れになっている。ソウルシリーズや類似作品でいえば、Sekiroに近いシステムといえるだろう。

 武器はこちらも最初に手に入る“巡礼者の剣”を含めて4種類。フォールグリムの各地にいる、武器を守る守護者ハダーンを倒し、手に入れることになる。武器はそれぞれ、特殊ギミック2種類、基礎能力の向上が5レベルまで用意されており、特定のアイテムを集めて強化していくことになる。なお、RPGとは銘打っているものの、基礎能力を上げるアイテム“焼き入れ用の酸”は周回内で手に入る個数が限られているために、やりこみたいプレイヤーは周回プレイが必要だ。

 基本的な戦闘、ハクスラタイプ。相手の攻撃をよけ、切ってダメージを与えていくという流れだ。良くも悪くも敵の動きもプレイヤーキャラの動きももっさりしており、それぞれのターンをしっかり意識しながらプレイできるだろう。また、武器に応じて、特殊攻撃も用意されており、体力バーの上に表示された“決意”(敵を倒す他アイテムを使用することが回復する)を使用することで武器エンチャント、あるいは強力な一撃を放つことができる。このほかにソウルシリーズではおなじみパリィも可能だ。敵の攻撃をうまく受け流した後は決意を消費することで強烈なカウンターをお見舞いすることができる。

 

モータルシェルにも篝火はあるよ

 ソウルシリーズと言えばおなじみ休憩&レベリングの場所である篝火。本作でも似たよいーと一瞥を利用した能力の解放ができるほか、場所に応じて物語の内容を解き明かすために必要なありがたいお話を聞かせてくれる。(これはあくまで個人的だが、かぼたんとまで言われて、愛されている、ソウルシリーズの火防女に比べると無機質でかわいくない。)

 

 ちなみに基本的に終盤ファストトラベルのためのアイテムを確保するまでは、各地のシスタージェネーシャの場所にワープすることはできず、自分の足でフォールグリムの各所を右往左往することになる。

ひりひりするような難易度です。

 難易度はモータルシェルの開発側が公式に高難易度とうたうだけあって、かなり骨太だ。いたるところに奈落があり、気を抜いてあるけない。敵も硬く手ごわい。武器を強化できていない序盤ではこちらの攻撃は3分の1も通らず、敵の攻撃で半分くらい削られてしまうということもある。敵の攻撃パターンを覚え、見切り対処していくことがたとえ道中のモブであったとしても求められている。

 パターンを見極める必要性をより高めているのが回復手段の少なさだ。モータルシェルではエスト瓶のような休憩すると回復するタイプのアイテムはなく、道中に落ちているキノコやネズミを拾って食べることになる。個数が限られるため、回復アイテム管理にも気を使わなくてはいけない。

 また、シスタージェネーシャと会話すると、倒した敵は復活してしまう。アイテムを回収するために邪魔、ターを少し稼ぎたい、そういった目的がない場合は、基本的には敵の配置、攻撃パターン、プレイしているシェルのスタミナをしっかり管理して、ボスにたどり着くまで、とにかく逃げるか一体一体をおびき出して個別に撃破していくプレイが必要になってくるだろう。

 無残にも死んでしまった場合はソウルシリーズと同じように、死んだ場所にソウル、本作ではシェル(ターと一瞥)が残され、獲得する前にまた死亡するとロストするという流れになっている。

 一応開発者側の良心か、二度(シェルによっては複数回)までは死亡しても問題ないようになっているのだが、それでもコントローラーを投げたくなるような難易度には変わりがない。

 

細かい部分では完成度の低さも

 本作モータルシェルはインディーデベロッパーが手掛けた本格的な3DアクションRPGである。4人のコアチームによって作られたそうだ。こういう点で見ると、かなりクオリティが高い作品といえるだろう。ただ、進行不能のバグこそないのだが、完成度という点では少なからず違和感を感じたのも事実だ。

 一つはゲームボリュームの少なさ。少ないだけではそれほど問題はないのだが、無理やりかさましているようで、冗長に感じられる点もあった。まずモータルシェルではファストトラベルが基本的にはできない。昨今のゲームでは当たり前にもなってきた、離れたマップ間を自由に行き来できる機能だが、これが、モータルシェルではゲームの最終盤までできないようになっている。

 確かに、モータルシェル世界の中心である、フォールグリムのマップ全体はそれほど広くはない。敵の種類や配置、操作に慣れれば特に問題なく行き来できるだろう。だが、モータルシェルの道中の敵は強敵ぞろい。加えて、厳密にいえばモータルシェルはアクションRPGではない。特定の能力を開放すれば問題なくクリアできる、アイテムの回復アイテムなどは別として、強化アイテムには個数制限がある。つまり、マラソン、いわゆるレベル上げやアイテム集めの必要性はそれほどない。ゲームを進めれば進めるほど、行き来する場所が多くなればなるほど、フォールグリムをうろうろする必要も、モブ敵を倒す必要性も薄れていく。だが、特定のアイテム(モータルシェルにはこれといった決まった進行順はないのだが、おそらく最終盤でないと手に入らない)がなければ、各所を自由に移動することはできない。ここにものすごくフラストレーションがたまった。

 また、雑魚、ボスをはじめ、とにかく敵が堅い。特に序盤はつらい戦闘を余儀なくされる。敵の行動パターン、こちらが対処できる手段もそれほど多くなく、交わして一撃を入れる、決意がたまったら、特殊攻撃、あるいはパリィで倒す。といったように戦闘がパターンかされがちだ。アクションももっさりとしており、正直なところ、爽快感のあるプレイは期待できない。終盤に連れて冗長さを感じてしまった。決してモータルシェルは駄作ではないと思うのだが、アクションを決めたときの爽快感があるタイプのゲームではないと感じた。

 ストーリーもNPCからうっすらと説明されるくらいで特になく、クエストや特定のNPCイベントもほとんどない。だいたい15時間、早い人であれば数時間もあればモータルシェルをクリアできてしまうだろう。

 クオリティの面でもやはりフルプライスのゲームに比べると落ちるように感じられた。カメラワークがおかしくなるところがゲーム中、少なからずある。エリアボスの一体では、第二形態に移行する際に明らかなバグといっていいほどカメラワークが乱れていたり、ロックオンがしづらかったりと難がある面も見られた。

 

ソウルシリーズへの愛は感じられる

 とはいえ、モータルシェルは影響をうけたと思われる、ソウルシリーズへの愛に富んだゲームだとはいえるだろう。プレイヤーが近づくと、のそりのそりと立ち上がり、襲い掛かってくる敵。敵を排除して、悠々自適に歩いていると物陰に隠れていた残りの敵に囲まれ、タコ殴りにされて死亡。思わぬところにある奈落に落ちていく自キャラ。難解ではあるが、順を追ってみていくことで、うっすらと物語の背景がわかってくるフレーバーテキスト。などなどソウルシリーズが好きなプレイヤーならニヤニヤしてしまうところはたくさんある。雰囲気は非常にいいゲームだ。

  また、シェルという機能もソウルシリーズとは違った独自性があり、面白い。ただ、やはりソウルシリーズを愛する人間が作ったソウル風ゲームの域は出ていないように感じた。

 未プレイなので、詳しい言及は避けるが、プレイ動画やレビューなどを見ると、バイオハザードに影響を受け、イタリアのインディーデベロッパーInvader Studios(バイオハザードの非公式モッドなどを手掛けている)が発表した、daymare1998という作品と通じたものがあるように思う。

www.4gamer.net

ゲームとしての完成度は正直なところ、疑問点が残る部分もあるが絶妙な難易度で、プレイしていくたびに実力が付く、達成感のようなものも味わえる。ソウル好きならにやりと出来るシーンもある。そんなゲームだ。個人的には正直ゲームのボリューム、完成度から考えると価格は少々割高に感じてしまったが、好きな人にはたまらないゲームだと思う。

 

 

Mortal Shell (輸入版:北米) - PS4

Mortal Shell (輸入版:北米) - PS4

  • 発売日: 2020/10/23
  • メディア: Video Game